ガッキーを目指すアラフォーおかんのブログ@3人目妊娠中

夫が好きすぎるアラフォー主婦。現在3人目妊娠中です。

金曜日は◯◯の日

6年ほど前、夫と付き合ってしばらく経った頃、夫の住んでいたアパートのキッチン戸棚を開けると、とんでもない量のレトルトカレーの箱が積み上げられていた。夫の部屋はめちゃくちゃ汚くて、とんでもなく散らかっていたので、よく私がせっせと片付けていたのだが、戸棚の中で几帳面に積み上げられたカレーの箱には、思わず目が点になった。

おそらく、50箱ほどあったと思う。「この箱、何?」と聞いたら、「今まで食べたレトルトカレーの箱」と答えたので、なんでそんなものを捨てずにとっているのか尋ねると、「こんなレトルトカレー食べたんやって、記録に残したいから」と言う。確かに、その辺のスーパーで見かける商品はほとんどなく、少しお値段高めのご当地カレーの箱が多かった。結局、結婚して引っ越すときに、大量の空き箱たちはあっさり捨てられてしまったのだが(私に)・・・。

 

この空き箱の一件で、夫がかなりカレー好きなことを知った。外食の時もカレーを注文することが多かったし、引越し先ではどこでもお気に入りのカレー屋を見つけて、よく食べに行った。夕食にカレーを作ると、「やった!今日はカレーか!」と子供みたいに喜んで、びしゃびしゃになるまでルーをかけて食べ、おかわりまでする。

 

夫が毎回嬉しそうに食べてくれるので、私もカレーを作るのがどんどん楽しくなり、豚骨や鶏ガラでスープを取ったり、いろんなルーを組み合わせたり、カレーに合うお米を探してみたりして、「おうちカレー」を充実させることを情熱を注ぐようになった。

 


そんな私が1年ほど前から作り始めたのが、スパイスカレーだ。

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私は料理がそこまで得意ではないので、フレンチを作れと言われたら絶対無理だし、魚の煮付や煮物などの和食を作っても、味がぼんやりしていまいちな仕上がりになる。味付けを濃くして誤魔化そうとしても、夫は減塩や糖質に厳しいので、「もうちょっと薄味の方がいいよ」と指摘されてしまう。

 

その点、スパイスカレーはコツさえ掴めば、すごく簡単だ。しかも、自分流にアレンジができて、市販のルーを使うよりはるかに脂質・塩分を少なくできる。味付けがスパイスだけなので、少々味が「??」でも「異国のカレーっぽいね」「今日は癖強めだね」と、如何様にも表現できるのがありがたい。

実際、夫は私の作るスパイスカレーにかなりハマっていて、「トマちゃんのカレーを食べたら、もう外で食べる気にならない」と言ってくれるまでになった。これは嫁として、めちゃくちゃ嬉しい。美味しいとか絶品とか、そういう褒め言葉をもらうより嬉しい。

 

もちろん、スパイスカレーを作り始めてまだ1年なので、納得いかない仕上がりになることも多い。「今日は辛すぎる」「一口目のパンチが足りない」「クミンシードの苦味が出てしまった」と、毎回反省することばかりだ。それでも、夫は「美味しいよ」と言って食べてくれる。

何よりも、お腹いっぱい食べても胃もたれしないのがすごい。夫はこの点をかなり評価してくれていて、「今までのカレーも美味しかったけど、いっぱい食べすぎて、翌朝の自分のゲップからもカレー臭がした。やっぱり市販のルーは脂質が多いんやろうな。でも、トマちゃんのスパイスカレーは、いくら食べても胃もたれしないし、逆に胃がスッキリするわ」と、消化の良さを実感しているようだ。

 

スパイスは元々生薬として使われているものが多いため、「カレーは食べる漢方薬」と言われている。クミン、ターメリックコリアンダー、カイエンペッパー、カルダモン、クローブ、シナモン・・・それぞれのスパイスに、さまざまな効能があるが、私が特にお勧めしたいのが、消化促進の作用があるクミンと、便秘を改善させるコリアンダーとカイエンペッパーだ。大体この3つに、抗酸化作用のあるターメリックを足せば、一般的なスパイスカレーができる。私は、生姜を多めに入れて、さらに消化促進・免疫力向上・抗酸化作用を高められるように意識している。

 

こんなふうに、夫の健康を意識しながらカレーを作ることは、私にとっても特別な時間である。我が家では、海軍のように「金曜日はカレーの日」と決めているのだが、カレーを作る時間「夫は今日はどんな顔で食べるだろうか」「ちょっとびっくりするようなカレーにしてみようかな」「前に作ったパプリカ入りのカレー、喜んでたなあ」とか、夫のことを考えながら作っている。どんなに喧嘩をしていても、日々の不満が積もり積もっていても、金曜日のカレーを作る時間に、大抵いつの間にかリセットされていて、「ああ、今週も夫のことを考えながらカレーを作っちゃったなあ」と、一人で苦笑いする。

 

時々ふと思う。もし、私たちが離婚しても、きっと夫は金曜日になるとカレーのことを思い出すだろうし、私もきっとカレーを作るたびに夫のことを想うだろう。私はそれを望んでいるし、そうなるべきだと思っている。別々の人生を歩むことになっても、私のことはなかったことにしないでね。そんな呪いをかけるような気持ちで、私は金曜日にカレーを作る。

 

まさか自分の妻が、離婚後のことまで考えながら、大好物のカレーを作っているとは、夫は思いもしないだろう。 金曜日のカレーは、私がいかに夫のことを好きかを思い知らされる時間で、自分の執拗さに少しゾッとする瞬間でもある。